読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

やさしい介護学

12年間の介護職体験談を思いのままに綴ります。

介護職の初日出勤の出来事 2

     胃瘻を選択した理由

 僕の配属先となった介護病棟の60床のうち、患者さんの半分以上が寝たきり、または半寝たきりの状態でした。その方のほとんどが、胃瘻を作って、経管栄養で食事を摂っている方でした。

 

 その時ふと思ったのですが、この人たちは、自ら、この先も、生きることを選んで、胃瘻を作り、延命を希望したのか?例えば、口から食べ物を食べて生きることができなくなったから、胃瘻という手段を自ら選んだのか、または、何か理由があって、このような生き方を選択せざるおえなかったのか、その日、初めてみた僕には、全くわかりませんでした。

 

     カニューレ

 違う病室では、また変わったものを見つけました。喉のあたりに何か蝶ネクタイの様な形の光っているものが見えます。よーく見ると、どうやらそれは金属でできているようで、中央に穴が開いており、その穴は喉の奥まで伸びているようでした。金属の周りには、10㎝四方のガーゼが挟むように掛けられており、その金属の穴から、痰の様なドロドロした液体がしたたり落ちています。 

 

 その様子を見つけた看護師が、何やら壁にかけてあった管を伸ばして、その管をその穴に突っ込み、痰や唾液を吸い取っている様子でした。「これはいったい何?」「なぜ、喉に穴が開いてるの?」「金属差し込んで、痛くないの?」と、今まで見たこともないような光景に、とにかくびっくりしました。

 

     バルーン

  違う病室へ移動すると、また初めて見るものがありました。ベッドサイドにプラスティックの袋が掛けられており、その中に黄色い液体が入っていました。「何これ?点滴?いや、下から流す点滴なんて、見たことないし、自然の摂理に反するし、やっぱり何?」

 

 よく観察してみると、その袋には管がつながっており、どうやら患者さんにつながっているようでした。「ひょっとして、おしっこ?」そうです。おしっこだったのです。その時もなぜ排尿のために管をつなぐ必要があるかなど、全くわかりませんでした。

      混乱と不安

 以上の3点が、主に初日にビックリした出来事でした。重篤の患者さんの中には、口から食事ができないために、胃瘻を作り、経管栄養で食事をし、口から思うように痰を吐き出すことができないため、気管切開をし、カニューレを埋め込むことで人工的に痰を出し、自然におしっこが出ないため、バルーンという膀胱内にカテーテルという管を入れ、人工的におしっこを出し、袋にためておくという行為がなされていました。

 

 僕が今まで想像していた介護と、この日に見た介護とは、全く別物でした。今見たものが、世界最高の長寿国日本の現実なら、少し違うような、違和感を感じました。幸せに老いることって可能なのだろうか?病気になったら、僕も体じゅうに穴を開け、管を付けられるのだろうか?拒否はできるのだろうか?自分の親が老いて、医療的な介護が必要ななったら、この患者さんと同じようないことを、親にもするのか?不安と疑問でかなり混乱してしまいました。

 

     一日を終えて

 今まで漠然と想像していた介護と、この日、実際に見た介護とでは、全く違ったものでした。このような医療行為が行われているのは、ここの施設だけなのか?たまたま採用されたのが専門の施設だったのか?それとも、日本全国、同じような事が行われているのか?海外も・・・・?わからないことだらけでした。

 そして改めて、自分の親の事を考えました。親はこのような介護現場が存在していることを知っているのか?自分たちの老後のプランは考えているのか?食べることができなくなったとき、胃瘻という手段を選ぶのか?痰を出す事ができなくなったとき、はたして気管切開を選択するのか?そして自分自身は? するのか???

 

     やさしい介護学

カニューレについて

カニューレとは、ドイツ語で「管」と言います。

 気管切開したところに入れるチューブを気管カニューレと言い、痰や唾液を排出したり、空気を送り込むために挿入するパイプ状の医療器具である。

 カニューレを挿入する目的として

①重度の脳障害などで、反射的な飲み込みやせき込みが困難な場合。

②神経筋疾患により、飲み込みや呼吸機能に障害がある場合。

③寝たきりの高齢者など、飲み込みや呼吸機能に障害がある場合。

などがあげられます。

 カニューレの種類としては、飲み込みに障害がある場合や、空気の漏れを防ぐためのカフ付きカニューレや、発生を可能にするスピーチカニューレなどがあります。

 

②バルーンについて

 僕がこの日に見たものは、寝たきりの患者さんなどが主に用いられる、長期留置の為のバルーン付きのカテーテルである。

 正式には、尿道カテーテルと言い、尿道口から膀胱に通して導尿する目的で使用されるカテーテルです。長期留置の為のバルーン付きのカテーテルは、カテーテルを留置する場合、カテーテルを末端まで挿入した後に、バルーンを蒸留水、もしくは専用のバルーン固定液で膨らませます。

 カテーテルを留置する目的は、前立腺肥大あるいは脊髄末梢神経障害麻酔薬剤の影響などで排尿が困難な患者さんの導尿、手術や絶対安静時の導尿、残尿量の測定などの検査のためです。