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やさしい介護学

12年間の介護職体験談を思いのままに綴ります。

衝撃の褥瘡(じょくそう)交換で悶絶!

初めての褥瘡交換

 老人保健施設で働き始めて間もないころ、看護師に付いて患者さんの清拭を行っていた時のことです。

 

看護師:「さあ、今から【じょっこう】回ろうか!」

 

僕:「じょっこう??? 何ですかじょっこうって???」

 

看護師:「あっ~、褥瘡(じょくそう)ってわかる?床ずれのこと!褥瘡交換ね!その処置をこれからするから、身体支えてほしい。」

 

 とのこと。床ずれはなんとなくわかるけど、専門用語で褥瘡って言うのか?!まあ、どんなものかわからないし、実際見たことがないので、半分興味津々で看護師に付いていきました。

 

そこで見たものとは!細胞の壊死???

 褥瘡交換が必要な患者さんとは、魚井さん(仮名)という80歳前後の女性で、アルツハイマー認知症を患っており、1日のほとんどをベッド上で過ごしている方でした。

 

 訪室するとベッド上に寝転がっており、我々に気付くと笑顔であいさつしてくれました。

 

看護師:「魚井さん、おはよう!おしり綺麗にするから、ちょっと我慢してね!」

 

僕:(えっ!我慢??? 痛いの???)

 

 その褥瘡とは、おしりの仙骨辺りにあるようで、オムツをはずし、身体を横向きに倒すと、仙骨辺りになにやら大きなシートが貼られていました。

 

 そのシートをはずすと、何やら黒ずんだ大きな穴?ができていました。

 

 しかも臭い!とにかく臭い!本当に、もどしそうになるくらい、鼻につく悪臭が漂います。その臭いとは、魚の腐ったような臭い?生ごみが腐ったような臭い?といえばいいでしょうか?

 

 褥瘡の大きさは、直径10㎝くらいあったと思います。その褥瘡部分を、精製水で綺麗に洗い流します。皮膚が黒ずんでいる部分は、壊死(細胞が死んでいる)しているようで、悪臭の原因はどうやらその壊死した皮膚からくるようでした。

 

 褥瘡部分を洗浄している時、とにかく痛いのでしょう。魚井さんの身体は小刻みに震え、「痛い痛い!」と涙を流しながら耐えています。看護師が「ごめんね、もうすぐで終わるからね!」と優しく声をかけながら、処置をしてゆきます。

 

 壊死部分を洗浄後、黒ずんでただれ落ちそうな皮膚をハサミでカットし、創部に薬を塗布した後、専用のシートを貼り、処置は終わりました。

 

 この処置を、褥瘡の大きさ、深さ、壊死の悪化の程度によって、軽い方は1日に1回、重症の方で1日に5~6回は行なっていました。

 

 とにかく初めて見た時は、何故ここまで悪化するのかな?と疑問に思いました。人間の身体って、生きてても壊死したり、腐る事もあることを知り、愕然としました。

 

 ではなぜ、褥瘡ができるのでしょうか?

 

褥瘡は半日でできる?!

 寝たきりや車椅子などで、同じ状態や体位で座っていると、皮膚に圧がかかり、部分的に血液の循環が悪くなります。そして、必要な酸素や栄養分が行き渡らなくなると細胞が死んでしまい、褥瘡ができてしまいます。同一個所に圧迫を続けると、半日どころか2時間もあればできてしまう恐ろしい現象です。

 

 元気な人なら、ぐっすり寝込んでいる時でも、手足が痛くなったり痺れてくると、自然に体を動かして除圧し、血液が途絶えないようにしますが、何らかの病気が原因で自由に体を動かせない方や脳疾患などで感覚そのものに障害がある方などは、うまいこと除圧できずに褥瘡を作ってしまうようです。

 

褥瘡ができやすい部位とは?

 その後、色んな褥瘡を見ましたが、だいたい3か所が多かったように思います。

仙骨部(尾てい骨のちょっと上の辺り)

②大転子部(太ももの付け根の外側の骨)

③踵部(足のかかと)

 

 お分かりの様に、皮膚から飛び出てるというか浮き上がっている部位ですね。

 

褥瘡予防

 褥瘡ができるリスクの高い方と言えば、やはり寝たきりの高齢だと思います。そのような方は体力が弱っている方が多いので、一度褥瘡ができてしまうと、悪化の一途をたどることが少なくありません。

 

 そのためのは、予防が必要になります。

体位変換

2時間以上の皮膚の圧迫は、褥瘡形成のリスクが高くなるので、だいたい2時間ごとに体位変換すると良いようです。

 

②マッサージ 及び ポジショニング

血液の循環を良くするために、除圧すると同時に褥瘡ができやすい部位のマッサージも効果的です。また、クッションやタオルなどを使って、皮膚への圧力を分散させる方法も有効です。

 

③エアマット 及び 体圧分散型マットレス

まさに、褥瘡防止の王様的存在です。体重がかかる面積を増やし、皮膚の圧力を分散してくれる優れものです!最近では、体位変換モード機能が付いたものなどもあり、患者さんにやさしく、また介護者の負担を軽減してくれる福祉用具でもあります。